「転ばぬ先の杖」課題も 任意後見のエアポケット問題とは?  2019年12月3日 地方紙より

後見業務の中で「転ばぬ先の杖」と言えば任意後見を表します。将来的に判断能力が落ちた時、生活や財産管理を手助けしてくれる人を判断能力があるうちに決めておき、その人と契約しておく制度です。契約の段階ではまだ任意後見受任者なので、家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらって初めて契約が発効します。

エアポケット問題とは現在判断能力が低下しているにも関わらずあえて、家庭裁判所に任意後見監督人を申し立てないことです。というのも任意後見受任者の段階ではあくまで私人間の委任関係に過ぎず、官によるチェック機能が働きません。つまりある程度の裁量が許されているので多少なりとも横領の問題が発生しやすくなります。

コスモスの会員は受任者の段階でも本部への報告義務はありますが横領などが100%防げると言うものでもありません(どんなにルールが厳しくてもそのルールを破る人が確実にいるものです)。

少しでもそういうことを起こさないためにも、契約まで出来るだけ何度も会うことが重要だと思います。そういう意味でも任意後見はお互いの信頼関係が大前提です。

 

 

後見報酬は高いか低いか?  最高裁、成年後見の報酬改定へ  2019年3月25日地方紙より

後見人報酬は家庭裁判所が決めます。金額は2万円が基準で財産額の大きさで追加の報酬が発生しますが、ほぼ2万円が多いです。

利用する側からすると2万円は高いという声が多いですが、逆に後見する側からすると少ないと感じるのが実態ではないでしょうか?

今回の改定により具体的な金額はこれから決まるようですが、後見業務の性質上大きく金額が変わることは無いように思います。

後見人は誰がなるべきか? 平成31年3月18日 厚生労働省第2回成年後見制度利用促進専門家会議より

最高裁判所が後見人には親族がうなることが望ましいとのニュースがありました。

現在は職業後見人が7割、親族が3割で後見人が申し立てられています。そんな中、なぜそのような発表をしたか少し考えてみたいと思います。まず職業後見人による横領事件ですがもちろん多くの職業後見人は不正はしていませんし、親族後見人でも横領しているケースもあるのでこれが決定打とは考えられません。

次に費用の面で考えてみます。職業後見人は月に普通2万円ほど掛かりますが、親族後見人は普通無報酬です。国民年金のみの収入だと2万円でも負担感は大きいと思いますが、最終的には家庭裁判所が判断するのでこの金額が原因で親族が望ましいとは考えにくいです。

最期にマッチングの問題があります。一度後見人が選任されると原則最期まで後見人の変更は出来ません。後見人の仕事には財産の管理と身上保護がありますが、職業後見がどれくらいの頻度で施設なり自宅に会いに来るかは各後見人の判断によります。直接介護をする立場ではない性質上、頻度が多ければ多いほどいいものでもないですが、3か月に一度も来ないとかはさすがに問題です。本人の判断能力の低下により意思疎通が難しいこともありますが、本人の希望を周囲にいる人から少しでもすくい取って後見できる人は少ないのも現実です。

そういう意味で最高裁判所が親族のほうが望ましいと考えるのはある程度納得いくものと言えそうです。