外国人採用への影響と企業が取るべき対応
近年、外国人雇用の拡大に伴い、在留資格「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」の運用にも変化が見られます。
その中で、「技人国の取得に日本語能力が必要になるのではないか」という情報が広がっており、企業担当者の関心が高まっています。
本記事では、この動向の実態と今後の影響、企業が取るべき対応について解説します。
技人国に日本語能力要件はあるのか?
まず結論から言うと、
現時点で法律上「一律に日本語能力を必須とする明確な要件」は設けられていません。
従来どおり、技人国の主な要件は以下のとおりです。
- 学歴または実務経験
- 業務内容と専門性の関連性
- 日本人と同等以上の報酬
なぜ「日本語能力が必要」と言われているのか
ではなぜ、日本語能力が要件化されたと言われているのでしょうか。
背景としては、近年の入管審査の運用が関係しています。
実務上の変化
最近の審査では、次のような点が重視される傾向があります。
- 業務遂行に必要な日本語能力があるか
- 職場でのコミュニケーションに支障がないか
- 業務内容と語学力の整合性
つまり、
形式的な要件ではなく「実務上の審査ポイントとして日本語能力が重視されている」
というのが実態です。
具体的に求められる日本語レベル
明確な基準はありませんが、一般的には次のような目安が考えられます。
日本語能力の目安
- N2程度:多くの企業で求められるレベル
- N3程度:業務内容によっては可能
- N1:高度な業務や対外業務で有利
ただし、ITエンジニアなどの場合は
といったケースでは、日本語能力が低くても許可される場合があります。
企業への影響
今回の運用傾向により、企業側には次のような影響が考えられます。
①採用基準の見直し
これまでよりも
日本語能力を重視した採用
が必要になる可能性があります。
②不許可リスクの増加
日本語能力が業務内容に対して不足している場合、
が不許可となる可能性があります。
③書類作成の重要性が増加
申請時には
- 業務内容の具体性
- 日本語使用場面の説明
- 外国人の語学能力
を適切に説明する必要があります。
今後予想される動き
今後は次のような流れが予想されます。
①実質的な日本語要件の強化
制度上の明文化がなくても、審査実務において日本語能力が重視される傾向は続くと考えられます。
②企業側の説明責任の増加
企業は
- なぜその外国人でなければならないのか
- 日本語能力で業務が可能か
をより具体的に説明する必要があります。
③特定技能との使い分けが明確化
- 特定技能 → 現場業務中心
- 技人国 → 専門職・ホワイトカラー
という役割分担がより明確になっていくと考えられます。
上限5万人に到達見込み ― 今後の外国人雇用への影響
2026年3月、政府は在留資格「特定技能1号」の外食業分野における外国人材の受入れを一時停止する方針を明らかにしました。
外食業の特定技能は、深刻な人手不足を背景に多くの飲食店で活用されてきましたが、受入れ人数が制度上の上限に近づいたため、2026年4月13日から新規受入れを原則停止することになります。
外食分野の特定技能が受入停止になる理由
特定技能制度では、分野ごとに外国人材の受入れ人数の上限が設定されています。
外食業分野の上限は
5万人(2024年度〜2028年度の期間)
とされており、2026年2月時点ですでに約4万6千人に達しています。
現在の増加ペースでは2026年5月頃に上限に達する見込みであるため、政府は新規受入れを停止する措置を決定しました。
この措置により
などが原則として停止される見込みです。
また、特定技能の外食業技能測定試験も一時停止されています。
外食業界への影響
外食業は日本の中でも特に人手不足が深刻な業界です。
飲食業の就業者数は約400万人とされており、そのうち特定技能外国人はまだ約1%程度に過ぎません。
それでも近年は特定技能外国人の増加が非常に速く、外食業界では外国人材への依存度が急速に高まっていました。
そのため今回の受入停止により
- 新規外国人材の確保が難しくなる
- 人件費の上昇
- 人材確保競争の激化
といった影響が出る可能性があります。
すでに日本にいる外国人の扱い
今回の措置は新規受入れの停止が中心であり、
- すでに特定技能で働いている外国人
- 技能実習から特定技能への変更
などについては、今後も申請が認められる可能性があります。
そのため今後は
「国内人材の奪い合い」
のような状況が生まれる可能性があります。
今後予想される動き
今回の措置により、今後の外国人雇用にはいくつかの変化が予想されます。
① 外食業の人材獲得競争の激化
新規受入れが停止されることで
の獲得競争が激しくなる可能性があります。
企業によっては
が必要になるかもしれません。
② 技人国など他の在留資格の活用
外食業では
などの業務を担当する外国人については
技術・人文知識・国際業務(技人国)
などの在留資格が検討されるケースが増える可能性があります。
ただし、この在留資格は単純労働が認められていないため、業務内容の設計が重要になります。
タイトルのとおり改訂されました。ここをクリックで開きます。
令和8年2月24日に改定された「永住許可に関するガイドライン」における主なポイントは、以下の通りです。
今回の改定では、特に公的義務の履行状況に関する評価がより明確化・厳格化されています。
1. 公的義務の適切な履行(期限の遵守)
永住許可を得るためには、納税、公的年金・公的医療保険の保険料の納付、および出入国管理法上の届出などの義務を適正に果たしている必要があります。 今回の改定で特に重要な点は、「申請時に未納がなければよい」というわけではないという点です。たとえ申請時点で完納していたとしても、「当初の納付期限内」に支払われていない場合は、原則として審査においてマイナス(消極的)に評価されることが明記されました。
2. 在留期間に関する経過措置
永住申請の要件の一つに「現に有している在留資格が最長の在留期間であること」がありますが、これに関して以下の経過措置が設けられています。
- 令和9年(2027年)3月31日までの間は、在留期間「3年」をもっていても、「最長の在留期間」として取り扱われます。
- 令和9年3月31日時点で「3年」の在留期間を持っている人については、その期間内に行われる処分(審査)の1回目に限り、同様に「最長」のものとして扱われます。
つまり、とにかく厳格化されます。
出入国在留管理庁(入管庁)は、専門職向けの在留資格である「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)」について、運用の厳格化と実態調査の強化を行う方針を固めました。2026年4月にも指針が改正される見通しです。
今回の改正の主なポイントは以下の通りです。
1. 他の在留資格での不正が「技人国」の不許可に直結
これまで別々に審査される側面があった在留資格ですが、今後は「特定技能」や「技能実習」で問題を起こした事業者に対し、「技人国」での受け入れも認めない方針が明確化されます。具体的には、賃金未払いなどの理由で5年間の受け入れ停止処分を受けた事業者は、その期間中、「技人国」の在留許可も受けられなくなります。
2. 派遣形態での「単純労働」に対する監視強化
「技人国」の資格で派遣就労をする際、本来認められていない単純労働(資格外活動)に従事させる事例が指摘されています。これを受け、入管庁は派遣先に対する実態調査を強化します。 今後は、派遣元や派遣先に対し、以下の書類の提出が徹底して求められるようになります。
3. 外国人政策全体の厳格化の流れ
政府は1月に決定した新方針に基づき、「技人国」だけでなく、以下の資格についても適正化を進めています。
- 「経営・管理」:資本金要件の引き上げなど、既に厳格化が始まっています。
- 「留学」・「永住者」:今後、順次検討が進められる予定です。
今回の指針改正により、企業にはより一層のコンプライアンス(法令遵守)労務管理が求められます。特に派遣を活用されている事業者様や、複数の在留資格で外国人材を雇用されている事業者様は、意図せぬ不備が将来のビザ申請に影響を及ぼすリスクがあります。
適正な受け入れ体制の構築や、申請書類の整備についてご不安な点がある場合は、お早めにご相談ください。
詳しくはこちらからサイトに移動してください。
ざっと見た感じは想定通り技能実習制度よりも教育を重視していいる分、監理支援機関と受入企業の負担は大きく、都度修正の運用が可能性として高そうです。準備中の項目もあるので一通り目を通しておけばいいと思います。
タイトルの通りの制度に関する法律が国会で2024年6月14日に可決成立した。正確にはもともとあった法律の改正にあたるもの。つまりどんな制度なのか・・・。
以前からある「技能実習制度」がすこぶる評判が悪く、対象の外国人にとっても日本国にとっても使いづらい制度になっていたから今回の法改正で「技能実習制度」を廃止して「育成就労制度」に改めるもの。新しい「育成就労制度」は外国人材の育成と人材確保を目的として、以前では認められていなかった転籍を認めることが大きな特徴。ただ、現在の技能実習生や監理団体から新制度に移行するためには相当の時間がかかりそうなのですぐには育成就労制度は始まらないように推測される。ちなみに法律的には公布から3年以内に施行の流れに。
政府は令和6年3月15日、技能実習に代わる新制度「育成就労」を新設する法案などを閣議決定した。近く今国会へ提出し、成立すれば2027年までの施行を目指す。現制度では原則認めていない本人意向の転職を1~2年の就労後にできるようにする。
技能実習法と出入国管理法などの改正を予定する。人材育成とともに人材確保を目的とする新たな在留資格「育成就労」を新設する。施行前までに技能実習の資格で入国した外国人は経過措置として最大3年間までの在留を認める。
就労期間は3年間とし、より技能レベルの高い「特定技能」に移行しやすくして長期の就労に道を開く。技能実習は国際貢献のための人材育成を目的に据えており、実習後は帰国することが前提となっていた。
技能実習では原則3年間転職を認めていないことから、劣悪な労働環境などに耐えられず失踪する事例も相次いだ。新制度は本人意向の転職を制限できる期間を業種ごとに1~2年の間で設定できるとした。加えて日本語や技能などの条件を満たすことなどが条件となる。
外国人労働者の受け入れ窓口となる監理団体も許可基準を厳格にする。名称を「監理支援機関」とし、いまは任意の外部監査人の設置を義務づける。受け入れ企業と密接な関わりを持つ役員の関与を制限し、中立性や独立性の確保をめざす。
転職するケースが増えることを見越し、転職仲介業への監督も強める。転職のあっせんに関われるのはハローワークや監理支援機関などに限定し、民間の仲介業者は認めない。不法就労などをさせた場合の法定刑も引き上げる。
育成就労は試験などの条件を満たせば最長5年就労できる特定技能「1号」、その後に在留資格の更新に制限がない「2号」になることも可能だ。「2号」は家族を帯同でき将来は永住権も申請できる。 “ここまで日経新聞の記事より”
これによりこれまであった「技能実習」は廃止することになった。しばらくの間は現状でも増加しつつある特定技能外国人を支援する登録支援機関の新規登録が、今後ますます増加する傾向に。ただし、現在ある「技能実習制度」と「特定技能制度」は内容が違うので新たに外国人と関りを持ちたい企業はよく考える必要があるので要注意を。
タイトルのとおりの中間報告が4月10日に発表されましたのでまとめてみました。
・技能実習制度の方向性としてはこれまでの人材育成だけでなく人材の確保も目的とすること。
・現行の技能実習制度は廃止予定、ただし監理団体は以降も存続する。
・転籍についてはこれまで以上に認めていく余地があること。
・現行の特定技能制度については2号対象職種(現在は建設、船舶・舶用工業の2つのみ)を順次拡大予定。
いつから廃止になるのかなどまだまだ不明な点がありますが、現場のことを考えるとすぐになくなることはなさそうに思います。この発表は外国人労働力情勢の大きな転換点になりそうです。