特定技能「物流倉庫」分野が新設へ!在留資格変更のポイントと受入企業が準備すること

物流業界では、EC市場の拡大や配送需要の変化などを背景に、倉庫内作業を担う人材の確保が課題となっています。

こうした状況を受け、特定技能制度の対象分野に「物流倉庫分野」が追加され、受入れに向けた制度整備が進められています。

2026年10月26日には、物流倉庫分野の特定技能1号評価試験の申請受付が開始されました。

今回は、物流倉庫分野で外国人を受け入れる際に押さえておきたい制度の概要と、在留資格変更申請の実務上のポイントを解説します。

1.物流倉庫分野で従事できる仕事とは?

物流倉庫分野で想定されているのは、物流倉庫内で行われる貨物の入出庫、保管その他の倉庫作業です。

具体的には、次のような業務が挙げられます。

  • 入庫・出庫貨物の受渡し、検品
  • 貨物の移動や保管場所への格納
  • ピッキング
  • 小分け再包装、ラベル貼り、タグの取付け、セット組みなどの流通加工

ただし、物流会社や倉庫内で働く仕事であれば、すべて対象になるわけではありません。

例えば、流通に必要なラベル貼りと、製造工程の一部として行う加工は区別する必要があります。商品の機能を完成させたり、性能を向上させたりする製造工程は、物流倉庫分野の流通加工には含まれません。

受入れを検討する際は、会社の業種名だけで判断せず、外国人が実際に担当する業務を具体的に確認することが重要です。

2.どのような企業が外国人を受け入れられるのか?

物流倉庫分野では、物流関係の会社ならどこでも受入れが認められるわけではありません。

国土交通省の公表資料では、倉庫業の登録を受けて自ら倉庫作業を行う事業者、登録倉庫業者から委託を受けて倉庫作業を行う事業者、一定の貨物自動車運送事業の許可を受けた事業者などが対象として示されています。

ここで注意したいのが、物流業界特有の委託関係です。

物流センターでは、荷主、物流会社、倉庫会社、作業請負会社など、複数の企業が関係していることがあります。

そのため、在留資格変更申請に先立ち、外国人を雇用する企業が制度上の対象事業者に該当するか、倉庫作業の委託関係がどのようになっているかを確認する必要があります。

3.在留資格変更申請で確認したい5つのポイント

① 受入企業の事業内容と許可・登録

倉庫業登録や貨物自動車運送事業の許可の有無を確認し、実際の事業内容と照合します。

必要に応じて、事業許可・登録に関する資料、倉庫の所在地、委託契約などを確認し、受入企業がどの類型に該当するか整理します。

② 技能評価試験と日本語能力

特定技能1号では、原則として物流倉庫分野の技能評価試験に合格し、日本語能力A2相当以上を証明する必要があります。

2026年10月26日には、特定技能1号評価試験の申請受付が開始されました。

候補者については、試験結果の有無、日本語能力の証明資料、本人確認資料との一致などを確認しましょう。

技能実習修了者などについて試験免除を検討する場合は、修了した職種・作業や適用される免除規定を個別に確認する必要があります。

③ 実際の業務内容

入出庫、検品、格納、ピッキング、流通加工など、担当予定業務を具体的に確認します。

「倉庫内作業」という抽象的な説明だけでは、物流倉庫分野に該当するか判断できない場合があります。

製造工程や運送業務など、別の業務が中心となっていないかにも注意が必要です。

④ 雇用契約と勤務実態

物流倉庫では、早朝・夜間勤務、交代制、繁忙期の残業などが発生する場合があります。

雇用契約書の記載と実際の勤務条件が一致しているか、報酬が適切か、勤務場所や指揮命令関係が明確かを確認します。

特に、外国人を雇用する企業と現場で作業指示を出す企業が異なる場合は、契約形態と現場の実態を慎重に確認することが大切です。

⑤ 分野別協議会と必要書類

物流倉庫分野では、分野別協議会への加入が求められています。また、受入企業向けの分野別誓約書なども公表されています。

ただし、2026年10月時点では、国土交通省の案内ページ上、分野別協議会は設置に向けて調整中とされています。

協議会の加入受付開始時期や必要書類は、最新の公式案内を確認したうえで準備しましょう。

4.物流業界の実態を踏まえた注意点

物流倉庫分野では、現場の業務内容だけでなく、複数の企業が関係する取引構造を理解することが重要です。

例えば、倉庫会社が倉庫業の登録を受けていても、実際に外国人を雇用する会社が別の作業請負会社である場合、雇用する会社自身が受入れの要件を満たすか確認しなければなりません。

また、商品のラベル貼りやセット組みであっても、物流に必要な流通加工なのか、製造工程に当たるのかによって判断が異なります。

さらに、年末商戦などの繁忙期だけでなく、年間を通じた業務量や勤務体制も把握しておくと、雇用契約と実際の業務内容を確認するうえで役立ちます。

5.受入れを検討している企業は早めの準備を

物流倉庫分野の特定技能受入れでは、候補者の試験合格だけでなく、受入企業の適格性、業務内容、雇用契約、協議会関係の手続など、複数の事項を確認する必要があります。

また、2026年10月時点では、技能評価試験の申請受付は開始されていますが、在留資格変更の受付開始日や必要書類については、最新の公式情報を確認することが重要です。

受入れを検討している企業は、制度の開始を待つだけでなく、自社の事業許可・登録、倉庫の運営形態、委託契約、雇用条件などを整理しておくとよいでしょう。

当事務所では、外国人雇用に関する在留資格手続について、制度要件の確認から申請準備まで、企業の状況に応じたご相談を承っています。

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